概要
以上の2種類の点について、コンピュータが自動的に行うのではなく、ユーザ自身に自発的に操作、再吟味させる事で、英文読解の支援効果及び教育効果が得られるのではと仮定した。

図1.上記例文を『TransAssist』で表現した画面例
タスクが新奇なので、実験群ユーザには6週間の試用期間の間、論文などを読む際に本ツールを使用してもらった。
| 実験群 | 統制群 | |
|---|---|---|
| PrePaper | ○ | ○ |
| PreTool | ○ | ○ |
| 試用期間 | ○ | × |
| PostTool | ○ | ○ |
| PostPaper | ○ | ○ |
しかしながら三宅先生との議論を通して、本ツールの本質は時間的な効率の向上にはないと考えられるようになってきた。
むしろこのインターフェースの重さが、通常の紙での読解であれば流し読みしてしまう様な文に対して、より深いレベルまでの読解を促すと考えられるのである。普通なら「なんとなく意味が取れた」程度で次に行ってしまうところに、このブロックを配置するというタスクが入る事で、文の構文構造まで考える必要が出てきて、結果誤解に気付いたり、もっと深い意味がある事に気付かされる可能性が拡大すると考えられる。
このツールがもっとも有効に作用するユーザ像および場面とはどのようなものであろうか。
ひとつには、英語がまったくできないユーザが独力で活用することは困難であると思われる。多少の英語力があって、ある程度配置を実行してみる過程で、頭の中の構文構造と外化されたブロックの配置との間でインタラクションが生じ、操作と再吟味のループが形成されるものと思われる。
英語の力があまりないユーザの場合は、もう少し力のあるユーザと協調で英文を読んでみる、という使い方が有効ではないだろうか。英語のできる人の構文解析の仕方が視覚化されていく過程を目の当たりにする事や、自分の構文解析を他人に吟味してもらう機会ができる事で、構文に対する新しい理解や発見が可能になる事は想像に難くない。
逆に英語の力がかなりあるユーザの場合はどうだろうか。普段、なんの滞りもなく英文が読めるユーザの場合、このようなツールを使うまでもないであろう。ただ、こうしたユーザの場合でも、書籍の翻訳などの正確さが要求される読解では、複雑な構文の文やクリティカルな点について言及している文については、TransAssistが有効であると考えられる。 また共同翻訳のような場面では、先にも述べたTransAssistの協調使用が、互いの読み方を視覚化して相手と共有する事を可能にし、両者納得の行く訳を見出すことに一役買えるのではないかと考えている。
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